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2007年10月26日 (金)

<本の姫>は謳う1:多崎礼

遥か昔、天使達が『文字の精霊』達の力を用い、空に島を浮かべ楽園を築いたが、『滅日(ホロビ)』の一夜にして滅んだという伝説を持つソリアディス大陸。
本の修繕屋の少年アンガスは、大陸に散在する天使の遺跡を巡り、『滅日』の一夜にして散らばった世界を蝕む存在『文字(スペル)』の回収を<本の姫>と共に行っていた。
遺跡の発掘中に救った少女から『文字(スペル)』の気配を感じたアンガスは、<本の姫>と共に彼女の身元を探る旅に出る。

『煌夜祭』の多崎礼が贈る長編ファンタジー第1巻。

待ってましたー! 
同時期に受賞した九条菜月さんが、さくさく出していたのでどうなっているんだろうと思っていたんですが、なるほど、長編依頼があって、書き下ろしていたんですね。
ほっとしましたよ。『煌夜祭』であれほどの『世界』を見せてくれた人だったんで、次の作品が読みたくてしかたなかったんですから。

で、本作。第1巻ですが。
この方、面白い世界設定をするんですがこれまた、面白い世界設定と『本』の設定を作りましたねー。
特に『本』の設定は面白い。今の3Dとかのイメージを髣髴させますね。後、文字(スペル)とかの設定も、言霊的で面白いです。
天使の十二階級は、既存のものを使用しているんですが、そのせいか、一瞬頭の中に『天使禁猟区』とか浮かんでしまいました。
話そのものは、アンガスの生きている現在と、アンガスが持つ楽園の天使達の記憶の2重構造で、それぞれがおろらく『滅日(ホロビ)』と『文字(スペル)』の謎解きに集約されていくんでしょうが、その構成がいい感じです。

それにしても、ああ、やっぱり美人でも苦労性でも軟弱でも、ヘタレでも、出てくる登場人物が、それぞれしっかり芯があって生き生きしてます。
アンガスなんか、姫にして「顔しか取りえがない」とか言われてるほそっこい少年の癖して、精神的にはかなりしっかりした子でしたねー。
<本の姫>も高飛車で、傲慢で、唯我独尊なんですが、他者を思いやる(実は結構涙もろい?)優しさを持っていて、アンガスのこと、ものすごく心配してるし。
そんな二人のやりとりと、そこに関わってくる脇役達がいい味出してます。
この巻は『起承転結』の『起』でアンガス達ととある人物達との『文字(スペル)』の争奪戦開始の狼煙の巻だったんですが、アンガスたちは無事『文字(スペル)』を集めることが出来るのか、何故、『滅日』は起きたのか、どのようにして謎が解き明かされるか、続きが楽しみです。

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